東尋坊と聞いて、多くの人が自殺の名所や心霊スポットだというイメージがまず浮かぶのではないでしょうか。
んーまぁそういう一面もあるのは確かです。
けど、単純に地質学的に見た時に、東尋坊はすごいところなのです。
ここには、以前生月島の記事でも紹介しましたが大規模な柱状節理を見る事ができます。
柱状節理とは、「岩体が柱状になった節理。 六角柱状のものが多いが、五角柱状や四角柱状のものもある。 玄武岩質の岩石によく見られ、マグマの冷却面と垂直に発達する。」です。(wikiより)
ちょっと説明を加えると、マグマが冷えて固まっていく際には、体積がわずかに減り収縮していき、規則正しい割れ目ができるのだそうです。規則正しく割れ目ができるだなんてとても不思議ですよね。
田んぼが乾くとひび割れするのを想像してもらえればわかりやすいかと思います。
こういった「岩石の規則正しい割れ目」を「節理」と呼び、他にも板状節理や放射状節理など種類があります。
東尋坊という名前の由来は、「坊」という文字が示すように、一人の乱暴者のお坊さんの名前から来ていると言われています。
この東尋坊というお坊さんは乱暴で悪い事ばかりするので、困り果てた平泉寺というお寺の人々は断崖絶壁の崖の上で酒盛りをするといって東尋坊を呼び出し、お酒を飲ませたうえで崖の下へ突き落したそうです。それが東尋坊の名前の由来になったとさ。
崖まで行く途中の土産物屋が並ぶ通り。
駐車場はいくつかありますが無料のところが多いです。その代わりに駐車場から崖の方まで向かうのに土産物屋さんの中を通ることになります。これはなかなかにしたたかです。
でも個人的には「観光地を訪れたらそこにお金を落とすべき」だと思っているので、無料で車を停めるだけじゃなく何かしら購入しましょう。
ここは東尋坊のメインの一つ、大池と呼ばれる入江です。
棒状の形になっているのが柱状節理。柱状節理は途中で折れて断面が見えているのが妙で、自然て本当にスゴ面白いと思わせてくれます。
生月島の塩俵の断崖の方がもっと全体的に整っていて小ぎれいではありますけど、規模としては東尋坊の方が大きいです。
→行き着いたら生月島①
階段で下までおりてきました。
振り向いて見渡してみると、そこかしこに柱状節理の断面図が見れる事がわかります。
と言う事は、もしかしたらこの辺も昔は断崖絶壁の上で、それが長い年月と共に波による浸食で岩が削れていき、このような低さになってしまったのかもしれません。
崖の壁面などに生えている植物の緑がまたいい感じ。
見てくださいこの柱状節理の斜め具合。みんな揃って右斜めに傾いています。
おそらくこの辺も昔はもっと高かったはず。
これは三段岩と呼ばれています。
けれども、幼い頃ドラゴンボールを読んで過ごした世代にとっては、悟空とベジータが戦った場所のように見えます。
あの時のベジータはしぶとくて強かったなぁ。
景色はキレイだし、地質学的に珍しい場所なので、できれば東尋坊を自殺の名所だなんて呼んであげないで欲しいところですが、実際この高さでこの岩の上に落ちたらそりゃ死ねるでしょうし万が一すぐ死ななくても這い上がる事は無理で波にさらわれていくでしょうからまず死ねますね・・・。
この周辺にある公衆電話には、自殺を思いとどまらせる為の貼り紙や、最後どこかに電話してもらうための十円玉が積まれているという話は本当です。
私はまだ何もかも投げ出してしまいたくなるような辛い経験をした事が無いので気軽に「自殺なんてよくないことだ」と口にする事も可能ですが、世の中には本当に自分ではどうにも抗えない程悲惨な運命の下に生まれた人もたくさんいるでしょうから、本来は安易に「自殺するな」とたしなめることはできないんじゃないかという気がします。もちろん目の前で飛び込もうとしてる人がいたら引き留めるのは当たり前ですけど。
けどその人の悲しみや辛さはその人にしか理解しようがないものであって、決して「シェア」とか「拡散」などできる簡単なものではないと思います。
どこのどなたかは知りませんが、連なる岩のあんな先まで行ってしまっています。
少しでも足を滑らせたら荒々しい日本海ですからねー、気をつけてくださいねー。
海水が溜まって池のようになった中に、こんなかわいい生命を見つけました。
見にくいかもですが、ヤドカリ(ですよね?)です。
という訳で今回は福井県の東尋坊をご紹介しました。
そこは大きな規模の柱状節理を見る事ができる特異な場所。
そこはもう生きていられなくなった人がその身を投げ出す場所。
でもできれば他の道を探してくれればいい。
公衆電話に十円玉が積まれなくなればいい。
東尋坊と聞いて浮かぶイメージが、自殺の名所ではなく、奇岩の名所として最初に浮かぶように一日でも早くなってくれたらと心から思うのです。
行き着いたら生月島①
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