ボロブドゥール遺跡の記事の第一回目で1973年にユネスコ主導のもと大規模な修復工事が行われたことを書きました。
今回、前半はその修復の過程で生まれた「雑さ」について、後半は「凄さ」について、です。
世界三大仏教遺跡の一つ、インドネシアのボロブドゥール①
世界三大仏教遺跡の一つ、インドネシアのボロブドゥール②
世界三大仏教遺跡の一つ、インドネシアのボロブドゥール③
世界三大仏教遺跡の一つ、インドネシアのボロブドゥール④
まずは下の写真を見てください。
何か違和感を感じませんか?
ええ、そうなんです。積み重なっている石のレリーフが合っているようで合っていない。一番わかりやすいのは右下の人間の足の部分。全然違う。
という訳で、今回の記事の趣旨は、この雑極まりない修復具合を見ていこうという感じです。
これなんてスゴイですよ、もうレリーフが無いのに壁に組み込んじゃってるから。
しかも右上!本来人の頭が来るはずの場所にただの岩の破片て!もうきちんとした大きさのブロックですらない・・・。
適当な作業員が「まぁこんな感じの石でも置いときゃいいっしょ」「ギャハハそれウケる!」とか笑いながらのっけたに違いありません。
いやもっとスゴイのあった。もう上段が全部適当・・・。
レリーフ無しのただのブロックの連続て。しかも一箇所だけ顔並んでるとこあるけどそれも胴体と繋がってなくて違うからね。なんかレリーフの顔が「俺らはちゃんとしてるもんね」みたいな表情してるけども。あんたらも違ってるから。
下段を見ると馬車のようなレリーフがあるし人たくさんいるしちゃんとしたレリーフになってたら迫力ありそうだったのに・・・。もう二度と元の形に戻らないと思うと非常に残念。
お次は顔のアップ。
これもなーオリジナルはこうじゃなかったと思うんだけどなー。なぜ顔だけで積むのかなぁ。
これも同じようなの。
胴体の上に胴体でその上は顔ばかり。オリジナルはそうじゃなかったと思うんだけどなー。つーか不気味な顔ばっかでこえーよ。
さて、イチャモンをつけるのはこれくらいにして、後半はきちんとボロブドゥールの良いところを。
まずこのレリーフですが、顔つきといい髪型といい、ドレッドヘアーのアフリカ系アメリカ人みたいな風貌をしている。
もしかしたら当時貿易とかで関わった外国人を描いたのかもしれません。いや、わかりませんけど。
ブッダらしき人物が中心で描かれることが多いレリーフですが、これは珍しく建物に対して人々がひれ伏している。建物はどことなくタージマハルのような雰囲気。
いいよーいい感じだよーボロブドゥール。
今度は他のレリーフとは格が違う雰囲気のレリーフ。何というか、世界が違う・・・?
実はボロブドゥールの階層にはきちんと意味があって、Wikiによりますと、ボロブドゥールの構造は仏教の三界を表していると言われています。
「下から、基壇は人間のいる欲界、その上は神と人間が触れあう世界である色界、さらに、その上部が神のいる無色界」・・・だそうです。
下の煩悩にまみれた世界から上に行く程悟りの境地に近づいていくような仕組み。
一番上の真ん中には何があるかと言いますと、仏塔(ストゥーパ)です。
そして、ボロブドゥール遺跡のマジでスゴイところは、どうやら遺跡そのものが”曼荼羅”の形を呈しているところ。
四方それぞれに同じような入り口があって、立体的に階層になっていて、中心にはストゥーパがあって・・・。空から見たら、まるで大地に描かれた立体の曼荼羅だという・・・。
凄すぎでしょボロブドゥール!どんだけスゲーんだよもうイヤになっちゃうよ。
実際に最上階へ登ってくるともうレリーフはありません。ここには小さなストゥーパがたくさん並んでいます。
そしてど真ん中にあるストゥーパはというと・・・。
これが最上階の真ん中にあるストゥーパ。ここはもう無色界。欲望も物質的条件も超越し、ただ精神作用にのみ住む世界。「禅定」に住している世界。
・・・なんだからお前ら仏塔に登ったり腰かけたりするんじゃない!罰当たりどもが!
と言いたいところですが、ここは世界最大のイスラム教徒を抱える国インドネシア。現在仏教徒はインドネシア人口の1%以下だと言われるぐらいなのでボロブドゥールをただの観光地としか思ってないんだろうから仕方ない・・・。
最後、遺跡を後にする時には修復工事で余ったブロック達が無造作に置かれているところを横目に帰るというところがまたなんとも言えない雑さ・・・。
そんなこんなでボロブドゥール遺跡についての記事はこれで終了です。
5回に渡って紹介した記事で、ボロブドゥール遺跡が世界三大仏教遺跡と呼ばれるに相応しい遺跡だという事が伝わったら光栄です。
特に階層を上に上がるにつれて悟りに近づくって点と、遺跡を真上から見る事ができたら遺跡そのものが立体の曼荼羅になっている点がもう神がかってます。
また行きたいな、ボロブドゥール。
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