旅写真ギャラリー <クレイジー過ぎる棚田>
日時 2010/04/22
場所 フィリピン バタド
F値 9.5
露出時間 1/320
日本には棚田百選というものがある。
日本百名山や名水百選などのように、日本に存在する棚田から特に価値あるものを100カ所選びましたよというもの。
まずなにより、棚田が100カ所以上あることに驚く。日本に棚田ってそんなにたくさんあるんだ。
私は少し棚田好きで、今まで日本をバイクや自転車で旅しながらいくつか実際に見に行った事がある。大きな棚田から小さい棚田まで。
田植え前の時期に張られた水に夕暮れ時の夕焼けの色が映り込んで赤く染まった美しさがたまらん。なかなかそのタイミングを狙って訪れるのは難しいんだけど。
有名なのだと佐賀県の浜野浦の棚田。「浜野浦の棚田」で画像検索したら素晴らしい景色の数々を見る事ができる。
私も実際に浜野浦の棚田を訪れた事があるんだけど、既に田植えが終わって稲が伸びてて、しかも天気が悪くて空一面に分厚い雲がかかっていて、夕暮れがきれいに赤く染まらなかった。残念。
ちなみに、自転車で旅しながら棚田をいくつか見に行ったのだが、自転車と棚田は相性が悪い事を付け加えておこう。
なぜかと言うと、棚田はほとんどの場合平坦な場所にはない。急な斜面にあるからこそ階段状になって棚田の形になっているのだ。
つまり、自転車で棚田を見に行くには、必ずと言っていいほど行き帰りでアップダウンを乗り越えなくてはいけないのでしんどい。まぁ、全部の棚田がそうとは言えないけど。
ところ変わって、マレーシアのコタキナバルという街から飛行機でフィリピンのマニラに着いたとき、私はフィリピンで見るべき場所の情報を何も持っていなかった。
宿に置いてあったフィリピンのロンリープラネットを読んで多少は場所を調べたが、目的地が決まらない。
フィリピンのビザ無しでの滞在期間は21日間しかない。コタキナバルまでの往路のチケットもあるから帰りの日程はもう変えられない。
セブ島なんかにも行きたかったけど、島ばかりの国でフェリー使ってうまく移動しながら観光してまたマニラに戻ってきてうまくフライトに間に合うかどうか怪しい。
首都マニラがあるルソン島だけで過ごすしかなさそうだ。
街を歩いていると、ツーリストインフォメーションセンターらしき場所があったので、入ってみて、担当のおっさんにどこかルソン島で観光できる場所が無いか訊いてみた。
そしたらおっさんは結構親切で、色々教えてくれた。その中の一つに、ライスフィールド、つまり棚田で有名なバナウエという町があるのを見つけ、行き方などを教えてもらって行く事にした。
マニラからバスで10時間ほど揺られ、着いた場所はバナウエ。ここの棚田も凄かった。けど、しばらく滞在してみて知ったのだが、さらに奥があったのだ。
バナウエから乗り合いジープでガタガタの山道を二時間ちょい走ったところに、バタドという村がある。
バタドに着いたと思ってジープを降りたら、そこからさらに一時間ぐらい歩かないといけなかった。それぐらい奥地。
一時間ほど歩くと、すり鉢状に山々に囲まれた集落が広がり、なんとその山々の斜面が見渡す限り棚田になっているではないか!
その規模のデカさには度肝を抜かれて息を飲んだ。
一体、どれくらいの年月をかけて、どれくらいの人の苦労と汗が費やされてここまでの規模になったのか、想像するだけで頭がおかしくなる。
クレイジーとしか、言い様がない。
村はすり鉢状になっている為、散歩すると必然的に急な階段を上り下りしながらになるのだけど、はぁはぁ言いながらも雄大に広がる棚田の景色を見ながらだから楽しい。
写真を見ていただければわかるが、民家の高さから考えて、一番上の棚田なんてちょっとした高層ビルの最上階よりも高い。
ほんとに、ここまで農耕具持って上がってきて耕すの?ほんとに、稲刈りして下まで担いでこれるものなの?
考えれば考えるほど、わからない。
効率化。機械化。費用対効果。日本や先進国のビジネスで神格化されたかのような概念が無い。
遥か昔から続く、イフガオ族先祖代々が受け継いできた棚田の文化を守り続ける事の方が、この村では大事なのだろう。
耳の聞こえないお父さんと、かわいい2人姉妹の3人家族で経営している、こじんまりとした宿に3泊ほどしたが、妹さんが兄は台湾に出稼ぎに行っていると言っていた。
若者が、この厳しい棚田での作業よりももっと華やかな仕事でお金を稼ぎたいと思うのも仕方ないであろう。
もしかしたら、将来的には棚田の担い手が減っていくかもしれない。もったいないと思うが、時代の流れだろうし第三者が文句言える訳もない。
できれば、またいつかバタドを訪れた時に、バタドの棚田が金色に染まっていたらいいなと思う。
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