本州最北端の地、青森県は大間崎。
そこから国道338号線を16㎞南下したところに、仏ヶ浦という場所があります。
青森県にある霊山と言えば恐山ですが、恐山を地獄に例えるなら、仏ヶ浦はそのまま極楽浄土に例えられます。
極楽浄土に足を踏み入れてみた 仏ヶ浦①

その理由は、海蝕、つまり波によって岩が削られて出来た天然の奇岩による景観からです。
普通のごろっとした岩が転がっているのではなく、何かしら意図があって形作られたかのよう。
Wikiによると、地元民にしか知られていなかったこの地が有名になったのは、大町桂月という人が1922年に仏ヶ浦訪れた際にその景観に感動し、

「神のわざ 鬼の手つくり仏宇陀 人の世ならぬ処なりけり」

と詠んで紹介してから世に広まったとあります。昔は仏ヶ浦ではなく、仏宇陀(ほとけうだ)と呼ばれていたそうです。
この「人の世ならぬ処なりけり」が、この世の場所ではない、あの世、つまり極楽浄土だという訳です。

こちらは国道338号線から見た仏ヶ浦の外観。
少し天気が悪かったので薄暗くてわかりにくですけど。

今では、一部遊歩道が整備されていて、安全に歩いて見て回ることができます。
青空だと岩が映えますね。
それにしても不思議です。波によって削られたのは理解できるにしても、こんなほぼ垂直に削られるなんてあります?

海にせり出した遊歩道から振り返って見た景色。
手前の尖った岩の向こうの山肌はちょっと黄色がかって色が違う事がわかります。
しかし手前のほんのり緑がかった岩と連なっていますから、こちらも削ったらほんのり緑色しているのかもしれません。

この日は冬だったせいもあってか、どんより曇っていたので空の青さと海の青さがはっきり出なかったのが残念です。
できれば一度「仏ヶ浦」で画像検索してみていただきたい。キレーな画像がたくさん出てきますから。
何度も言いますけど、波に削られたとして、この垂直な壁具合はなんだ!

これ、わかりにくいですけど、中央に三角形の岩があってその岩が真っ二つに割れているのです。その割れ目に橋のように板が通されている。
三角形の左端には小さな祠があります。
昔から奇岩というのは、人の手では作り出せない神秘的な大きな岩というのは、信仰の対象になったのでしょう。

この時だけはちょうど雲の切れ間に青空が出ていました。
おかげで、マグリットの絵のようないい雰囲気になったと思っています。残念ながら浮いてはいませんけど。

これは蓮華岩と呼ばれる岩。
きっと最初は根本は普通の形をしていたんでしょうけど、周りが水たまりのようになってしまい、その中で根本が削られていってこのように細くなってしまったのでしょう。
まるで蓮華の花が水辺に浮かんでいるかのようです。
蓮華と仏教とは密接な関わりがあります。
如来像の台座はこの蓮華ですし、一説には仏教と共に蓮華が伝わったともいわれています。
また、仏教には、人は死後に極楽浄土へ行き、蓮の花に生まれ変わって身を託すという思想があり、それが「一蓮托生」の語源なのだとか。
この蓮の花のような形をした岩が仏ヶ浦をさらに極楽浄土っぽくたらしめています。

丸めた使用済みティッシュみたい・・・なんて。

このブログで初めて自分が写った写真をのっけてしまいます。
これが極楽浄土にいるワタクシ。

一人だったので、カメラを12秒のセルフタイマーにセットして、あそこまでダッシュして何事も無かったかのように立ってる訳です。

という訳で、青森にある仏ヶ浦をご紹介しました。
ここにはどうやら、岩場を奥まで進んだ先に、干潮時にしか辿り着けない場所があるそうです。
そこには湧き水があり、「不老長寿の水」と呼ばれているそう。
真偽のほどはどうあれ、なおさら人の世ならぬ処なりけりですね。
なお、遊覧船も運行しているようなので、興味がある方はぜひ調べてみてください。
青森県出身の人に会った時に、「仏ヶ浦いいよね」と言っても知らない人が結構いたんだけど、青森県内での知名度ってもしかして低いのかな?
仏ヶ浦も、いつかまた訪れたい場所のうちの一つです。



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