バラナシの風景その3はボートに乗ってガンジス河から街やガート(階段状になってて沐浴をする場でもある川岸のこと)の様子を一緒にご覧いただこうかと。
簡単にバラナシについておさらいしておくと、バラナシはインド北東部に位置し、聖なる河であるガンジス河が流れているため、ヒンドゥー教の聖地の一つである。
インド各地から聖地バラナシを目指してヒンドゥー教徒が巡礼に訪れる。
同時に、安宿が多く集まっていて過ごしやすいので、バックパッカー達が沈没(一つの街に長期滞在すること)しやすく、バックパッカー達にとっても聖地的な場所になっている。
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混沌の一切が流れていく街 バラナシその5<プージャ>
混沌の一切が流れていく街 バラナシその6<ガンジス河に昇る朝日>
ガートに腰をおろして、チャイを飲みながらぼんやりとガンジス河を眺めているだけで、旅してる気分満載になる。
声をかけてくる物売りはたくさんいる。
路地やガートで何回も顔合わせてるうちに仲良くなる旅人もいる。
子供達は無邪気に近寄ってくる。
とにかく色んな事が目の前で起きては流れていくから退屈しない。
きっとそのうちボートに乗る機会だってあるだろう。望んでなくても誰かに乗ろうって誘われるから。
長くバラナシにいると、初めてバラナシに来た旅人が「ボート乗りません?」って誘ってきて、
「あ、いいですよ(またか、もう何回目だろ・・・)、ぜひ行きましょう(ニッコリ)」
ということになる。
ボートに乗ってガートを眺めるとこんな感じ。
折り重なる建物。シヴァのペイント。たくさんの人。たくさんのボート。
人間だけじゃなく鳥や動物もこの母なる河ガンジス河に寄り添って生きている。
この辺のガートではお祈りをしてる人がたくさんいるみたいだ。
写真下から順に上に見ていくと、ガンジス河、お祈りする人々、階段状になっているガート、集まって話したりしている人々、派手な色した建物、そして建物の上に祀られている神様の像と、色んな様子を見る事ができる。
お祈りしている人達を少しアップで。
ガンジス河でのお祈りはこうして容器に河の水を汲んでお祈りしながら上から水を注ぐ姿をよく見かける。
一応、きちんと作法のようなものがあるようだ。
もし正式な作法でお祈りをしたければ、サドゥーと呼ばれる修行僧に頼めばやってもらえる。お礼にお布施は必要だが。
サドゥーは聖地だけあってバラナシにたくさんいてすぐ見つかる。
ドラクエ5の主人公みたいに布切れを巻いた格好をしていることが多く、額に白い顔料で3本ラインがはいってたりする。(額の模様は、どの神様を信仰しているかによる)
私が以前クミコゲストハウスのドミトリーに長期滞在していた時知り合ったAくんは、サドゥーに頼んで正式にお祈りをしてもらった一人だ。
なぜAくんが正式な作法でお祈りをする流れになったかの経緯はこうだ。
私は暇つぶし用に小さい麻雀牌をバックパックの中に持っていたんだけど、忘れもしない2011年の1月2日、たまたま麻雀できるメンツが集まってて正月だし暇つぶしに麻雀することになった。その中の一人がAくんだった。
2回目の半荘の東2局目の6巡目、当時まだ20代前半だったAくんが上家の捨てた牌を見て少しの間長考し、ふいに「あ、すいません、たぶん上がってます。」と言った。
最初はみんな「マジかよはえーよ。」ぐらいの感じだったんだけど、Aくんが牌を倒した瞬間ぶったまげた。
九蓮宝燈だとお!?
数ある麻雀の上がり役の中で最高得点の上がり役の部類を役満と呼ぶんだけど、その役満の中でも確率的に最も成立させにくい役がこの九蓮宝燈(ちゅうれんぽうとう/チューレンポートン)である。
難易度が高すぎて、上がったら運を使い果たして死ぬという迷信があるほど。
年の始めだったし、役が役だけに「これはヤベーよ!明日ガンジス河で祈祷してもらった方がいいって!死んじゃう死んじゃう!」と一騒動起こり、翌日Aくんはサドゥーに頼んでお祈りをしてもらうことに。
聖なる河ガンジスの御加護があったのか、、彼は無事に帰国し、今も日本で元気に暮らしているはずである。よかったよかった。
これ。写真右半分に写っている建物、明らかに傾いていて何か不自然。
しかも建物の上半分だけ見えていて下半分は地中に埋まっているではないか。
一体この寺院のような建物に何が起こってこうなったのだ?
少し離れて見てみるとわかりやすい。
まるでアニメやマンガで描かれた破滅した世界の場面みたいではないか。欲を言えば下半分は河に浸っていても雰囲気出て良さそうだがこれはこれでとてもカッコイイ。
いやあ、いいわぁ。廃墟好きとしてはこういう雰囲気最高。
見通しがいいからか、ガンジス河の川幅はそんなに無いように見えるが、実際は対岸まで結構距離がある。
過去、無謀なバックパッカーが対岸まで泳げるか挑戦し溺れて死亡したという噂も聞く。
なのでもしアナタがバラナシ訪れて、泳ぎに自信があったとしても絶対に泳いではいけない。
溺れる危険性だけじゃなく、水質の汚染度の危険性だってあるのだから。
どれだけのありとあらゆるものが河に流されるのかは次回で述べるとして、清潔な環境で生まれ育った日本人の体内にガンジス河の水が入ったらまず病気になる。
戦場カメラマンだった故・鴨志田穣さんはどの土地でも生水や川の水を飲んで生きてきた人だったらしいけど、ガンジス河の水を飲んだ時は、さすがに体調を壊したと西原理恵子さんのマンガに描いてあった。
ガートから河に入って全身を沈めるぐらいなら問題ないけど。
私も2001年に一度河に入ったことがある。
裸足の足裏で感じる河底の感触はとてもドロドロで、まるでヘドロの沼に足を踏み入れているようだった。
そして一度ガボッと頭まで全部潜って、ガンジス河入ったという証拠の写真だけ撮って河からあがり、宿に戻ってすぐシャワー浴びて全身をしっかり洗った。
おかげでなんとか無事だった。
ま、インド人達にとっては水質なんかは関係ないのでめっちゃ普通に顔を洗うし飲みもするんですけどね。
すいません、ちょっと見苦しい写真で。
漕ぎ手のおっさんに頼めばガンジス河の対岸にも渡ることができる。
この時は早朝に日本人4人ぐらいで渡った。あ、そうそう、前述のAくん含め一緒に麻雀したメンツだった。
対岸はこれでもかという程に寂しい雰囲気。
なぜか馬。
手前の布切れはおそらくだけど、女性用のトイレ及び更衣室・・・?
チャイ屋がいて、ボートで渡ってきたインド人観光客でなかなか賑わっていた。
インド人にとって、朝のチャイは欠かせないのだ。
我々も1杯チャイを飲みながら対岸からの景色を楽しんだ。
次回は、ある意味バラナシを象徴する場所、マニカルニカ・ガートについてです。
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